本来デザインとは、私たちの暮らしや社会を豊かにするために存在していますが、まだデザインの力が十分に発揮できていない分野があります。
今回で3回目を迎える本シンポジウムでは、そんな分野のひとつである「障害福祉」にスポットを当て、デザインのバックグラウンドを活かしながら活動されているゲストとともに、デザインの力をどうしたら活かせるのか、人を幸せにするデザインとは何か、デザインの可能性や役割について考えます。主催するのは、デザイナーやイラストレーターなどを中心に主に障害者福祉分野のデザインワークを行うわたしたちTOKYO SOCIAL DESIGNです。
【開催概要】
日時:2026年3月20日(祝・金)13:00-18:30
場所:AXIS ギャラリー(東京都港区六本木5-17-14F)
対象:デザイナー、福祉関係者、学生 他
内容:シンポジウム(トークセッション、ワークショップ、交流会)
参加費:一般 4,400円(税込) 学生割引 2,200円(税込) オンライン 2,200円(税込)
ゲスト:岡部太郎(一般財団法人たんぽぽの家 理事長) セキユリヲ(サルビア) 宮田尚幸(風と地と木合同会社 代表)
モデレーター:佐野恵子(AXISギャラリー)、加藤未礼(TOKYO SOCIAL DESIGN)
企画協力: AXIS ギャラリー
主催:TOKYO SOCIAL DESIGN(一般社団法人TalkTree)
お申込み:ピーティックスより
お問合せ:[email protected]
【スケジュール】
13:00-13:10 挨拶、説明など
<トーク>
13:10-14:00 (50分) セキユリヲ
14:00-14:05 休憩(5分)
14:05-14:55(50分) 岡部太郎
14:55-15:05 休憩(5分)
15:05-15:55(50分) 宮田尚幸
15:55-16:00 休憩(5分)
16:00-16:30 クロストーク ※配信はここまで
<ワークショップ>
16:30-17:30(60分) Lytte(リュテ)※ダイアローグ実践
デンマークの日常からヒントを得たワークショップ。参加者自身による体験を言葉に紡ぎ合うダイアローグ(対話)の時間を設けます。
17:30-18:30 交流会

Lytte(リュテ)※ 耳をひらくという意味のダイアローグの時間。答えを出すことを目的とせず、違いがそのまま置かれ、言葉が出てくることを大切にします。話の聴き方や姿勢、何のためにコミュニケーションをするのかという視点、場のつくり方、沈黙の扱い、進行のリズム──そうした小さな条件が変わるだけで、関係性やふるまいは少しずつ変化します。その変化が積み重なることで、安心(心理的安全性)は制度やコンセプトではなく、日々のふるまいとして根づいていきます。場の背景に合わせて設計を行い、参加者が安心して自分の言葉を持ち寄れる時間をつくります。
岡部太郎さんは、多摩美術大学グラフィックデザイン学科在学中から商業的なデザインをすることに違和感を感じていたと言います。卒業後は、社会のためのデザインを求めていきなり障害福祉の世界へ飛び込みました。以来2016年グッドデザイン金賞を受賞した「Good Job!プロジェクト」の運営主体であるたんぽぽの家でアート、デザイン、テクノロジー、福祉などの垣根をこえた試みを推進しています。

▸Good Job!センター香芝 障害のある人たちと新しい働き方や仕事づくりを実践する拠点として2016年に奈良県香芝市にオープン。設計:o+h / 一級建築士事務所 大西麻貴+百田有希

▸NEW TRADITIONAL(ニュートラ) 福祉×伝統工芸の可能性に着目し、新しいものづくりのあり方や伝統工芸の可能性を模索していくプロジェクト。商品開発だけでなく、リサーチや人材育成のための「ニュートラの学校」なども運営。

▸Art for Well-being 表現とケアとテクノロジーのこれからを考えるプロジェクト。病気や加齢、障害の重度化などにより心身の状態が変化しても創作や表現ができる方法を探る。VRゴーグルやAIなどを使った取り組みも積極的に行う。
暮らしと手しごとを結ぶ活動体「salvia(サルビア)」を主宰するテキスタイルデザイナーのセキユリヲさんは、町田市(東京)の就労支援施設La Manoとの取り組みをきっかけに障害のある人との協働制作を、10年以上にわたり継続。ボーダレスアートの作品集のブックデザインなども手がけています。2021年北海道東川町へ移住。特別養子縁組制度で出会ったダウン症のお子さん二人とともに自然のなかでの暮らしを楽しみながら、心にも身体にも心地よいものづくりを実践しています。

▸salvia(サルビア) 日本各地の職人や小規模工場と協働し、心と体にやさしい衣類やテキスタイル製品を制作する。大量生産ではなく、顔の見える関係性のなかで、手仕事や地域の技術を活かしながら、つくる人・使う人・届ける人が無理なく循環する仕組みを育てている。

▸就労支援施設クラフト工房 La Manoと協働した手織りのラグ

▸東川での活動 「手仕事の輪を作ろう」をメッセージにコミュニティを広げている。留学生と地域の人が交流する「東川手芸部」、壊れたものや古くなったものを持ち寄り、直しながら知恵を共有する「リペアカフェ」、こどもたちに手仕事を継承する「東川こども手芸部」、小中学生を対象にした新しい学び場づくりの活動「BLUE SCHOOL Higashikawa」など、地域で人と人をつなげる場づくりにも参画。
ケア・デザイナーの宮田尚幸さんは、幼い頃から目立たないように、できるだけ存在を消して生活していたそうです。大学でプロダクトデザインを専攻した後、就職するも違和感を感じ海外へ。デンマークで体験した重度の障害のある方との生活やアクティビティにより自分自身の生きづらさを克服、以降デンマークでの生活と福祉思想を背景に「Care Alternative」を掲げ、デンマークと日本の架け橋として活動しています。

▸Vilhelm Hertz Japan(ヴィルヘルム・ハーツ・ジャパン) Vilhelm Hertzは、シェラン島北部フンデステッド(デンマーク)で生まれた杖ブランド。デザインと思想を受け継ぎ、2023年より日本での公式パートナーとして正規製造・展開を担っている。日本では独自に家具製作で生まれた上質な端材を活かすことや、理学・作業療法士らとの連携など、持続可能なものづくりにも取り組んでいる。

▸Njordrum Care(ニョードルム・ケア) デンマークの建築家チームNjordrumが手がける、心地よさと安心を大切にした住宅。デンマークでの生活で「住環境が整うことで人のふるまいや関係性が変わり、心の余白が生まれる」ことを実感。1年中およそ22℃前後を保つ高断熱の住環境は、真冬も真夏も身体に無理が少なく静かな快適さをつくります。その誰にでも優しい住環境を日本でも広めようと日本総合窓口を担当しています。
本シンポジウムが、ゲストの話を聞くだけの機会にとどまらず、参加されたみなさんが日々の現場に持ち帰り、新たな繋がりが生まれることを期待します。
ぜひ、分野も枠も越え、より良い未来をともにデザインする緩やかなネットワーキングを一緒につくりませんか?
【ゲストプロフィール】
岡部太郎(一般財団法人たんぽぽの家 理事長)

1979年群馬県生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。高校生の頃より地元前橋の地域アート活動にボランティアとして参加。大学在学中にたんぽぽの家(奈良)と出会い、1年のインターンを経て2003年より働きはじめる。アートを通して障害のある人と社会をつなげる市民芸術運動「エイブル・アート・ムーブメント」の推進や、新しい仕事づくりを模索する「Good Job!プロジェクト」に取り組む。社会をデザインする視点を大切にしながら、福祉とアート、市民、企業、行政など、ジャンルを越えたつながりをつくる橋渡しの役割を担っている。
セキユリヲ (サルビア デザイナー)

千葉県生まれ。多摩美術大学二部デザイン学科卒業。北海道東川町を拠点に活動。自然や暮らしの風景をモチーフに、布や図案のデザインを手がけ「salvia」としてものづくりをはじめて25年。雑誌のデザインやパッケージデザインほか、東京・町田の就労支援施設La Manoとの取り組み、北海道の「北のボーダレスアート」(菊池雅子著)のブックデザインなども。「東川手芸部」「リペアカフェ」「東川ファーマーズマーケット」「BLUE SCHOOL Higashikawa」など地域をつなげる場づくりにも参画。
宮田尚幸(風と地と木 合同会社代表)

1987年東京都生まれ。法政大学 工学部 システムデザイン学科卒業。デンマークでの生活と福祉思想を背景に「Care Alternative」を掲げ、デンマークと日本の架け橋として活動。温もりのある美しさが人に静かな安心をもたらし、その安心が創造性や「その人らしさ」をひらいていく──そんなケアと心理的安全性のデザインを探求している。デンマークの杖ブランドVilhelm Hertz の思想とデザインを継承し、日本での展開・製造に取り組むとともに、ダイアローグを軸にした場づくりや対話の実践も行う。Vilhelm Hertz の活動にて、2022年 GOOD DESIGN AWARD 金賞、2024年 German Design Award ヘルスケア部門優秀賞を受賞。